自転車に乗る人、ランニングする人にとって、手賀沼はかけがえのない場所である。
なんと言っても、北柏から湖北まで東西に10kmあまり、信号や踏切などに邪魔されず走ることができる。
現在の手賀沼は手賀曙橋が東端となるが、さらにその先には干拓前の手賀沼が手賀川となって残っていて、土手の道を走ったり、歩くことはできる。
布佐まで数キロ続いている。
こんなところは、なかなかない。
これは、サイクリングコースとランニングコースが指定されている柏市側の南岸の話である。
我孫子市側の北岸は、基本的に歩道なので話は違う。
釣り人にとっては、どうだろうか。
私は、釣りをしないのでよくわからないのだが、なかなかいい場所なんじゃないかとは思う。
大堀川や大津川などが流れ込んでいる。
私は、自転車やランニングで出かけても、せいぜい、3、4時間くらいのものである。
でも、釣り人の方は、きっと1日いるんだろうなと思う。
いつも思うのだが、釣り人はだいたい男である。
ほとんどはおじさんである。
おばさんの釣り人は見たことがない。
まあ、考えるまでもないか。
たぶん、そんなひまなおばさんはいるはずがない。
私の育ったところは、村の真ん中を川が流れていて橋がかかっていた。
その橋の下は淵になっていて深さが3、4mあって上から見ても真っ青だった。
もっと深かったかも知れない。
でも、上流下流がすぐに浅瀬になっていたので、子どものたちの遊び場になっていた。
イワナやヤマメがいたが、誰も釣りはしなかった。
川は、子どもにとっては上から眺めるものではなく、中に入って遊ぶところなので、岩の下を手で探って、手づかみしようとした。
もちろん、そう簡単につかむことはできない。
本気で取ろうとする子は、ヤスを使って突いていた。
ヤスというのは、モリの先が何本かに分かれているもので、子どもでも扱えるように軽かった。
私は、これを「ヤシ」と覚えていたのだが、正確には「ヤス」だった。
なにしろ、秋田なので「ス」は「シ」に変化することがあるのだ。
川には、何カ所も砂防ダムがあった。
なので、通常は魚はダムを遡ることができない。
イワナやヤマメしかいない川に、大雨で増水してダムの上を水が流れると、鯉の滝登りのようにマスが昇ってくる。
そうしたら、子どもがの世界では大ニュースだった。
そういう事もあってか、釣りをやろうと思ったことがない。
いつくるかわからない当たりを待って、すわってることはできないかもしれない。